近年、豪雨災害や台風による被害が後を絶ちません。
2020年も特別警報級の台風になる恐れがあった台風10号が印象的です。
特に台風の影響は、暴風や土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、うねりを伴った高波、高潮と数多くあります。
この記事では、家に水が浸水してきたときの避難行動とそれまでにできる備えを解説していきます。
家に水が浸水してきたときの避難行動
垂直避難のタイミング
まず、避難の前提として避難所に避難することは最優先で考えておいてください。その中でも、避難に遅れた場合や避難しようとしたが移動自体が危険と感じたので安全な場所にとどまる場合を解説します。
家に水が入ってくるとまず思いつくのが、土のう設置や水をかき出す。
この行動は、自然な流れです。水が入ってきたらどうしても水を入らない行動をとります。これ自体は問題ないですが、次のことを同時に考えなければなりません。
家の中に水が入ってくる=水の高さが45cm以上はある
そうなると、避難は難しいな!垂直避難を考えよう!
なぜこういう考えをしなければいけないかと言うと
一般的な床面の高さは、建築で45cm程度とされているので、水が入ってきているということは道路では45cm以上浸水しています。
下の図は、浸水した場所を歩くときの危険性を水深と流速で表した図です。
図1で分かるように女性高齢者は、水深が40cmを超えると水の流れが0であっても歩行が危険になってきます。
成人男性でも、流速が2m/sを超える流れがあると水深40cmでも避難不可能になってきます。
足を一度取られてしまうと、姿勢を立て直すことができずそのまま流されてしまう、夏場に浅い川で事故が起こるのはこのような理由があるからです。
もう一つ、家に水が浸水してきてから避難しないほうがいい理由は
雨水がマンホールや道路の側溝からあふれる「内水氾濫」では、平均的に1分間に2cm程度の速さで浸水深が増えるとされています。
また川があふれて浸水する場合は、1分間に3cm程度の速さで増え、ゆっくり増えるようなイメージだが、浸水は20分~30分という短い時間で歩行困難な40cmを超えます!
結果
家に水が浸水してきたら
・避難できないので垂直避難に切り替える!
・土のう設置や水をかき出す行動はせず、垂直避難の準備にとりかかる!
家に水が浸水してくる前に、できる備え
家に水が浸水してくる前に、できる備えとしては3つあります。
・土のうの設置
・家の高さを確認しておく
・防災グッズ/屋根上に登る防災グッズの備え
土のうの設置
水が浸水してから、土のうの設置はやめましょう。
土のうの設置は天気予報をみて台風が近づく前、大雨が降る前にやっておきましょう。
土のうの正しい設置の仕方は、関連記事を貼っておくので、気になる方は見てみてください。
自衛隊から学んだ土のうの積み方や、土のう袋の耐久年数について実験した結果などを書いています。
家の高さを確認しておく
垂直避難するときに知っておくことがあります。
家には、2階建てや平屋または3階建てがあるので、それぞれで考えていきます。
3階建て以上の場合
3階建て以上の場合、3階では地面からの床面高さが6m程度なので家の中で最も高い部屋に移動することで浸水対策になります。
住んでいる場所によっては、洪水浸水想定区域(想定最大規模)が5~10mところもあるので、一度自宅のハザードマップを確認しておきましょう。
国土交通省が運営するハザードマップ「重ねるハザードマップ」のリンクを貼っておくので利用してください。
防災グッズや非常食、水の備蓄品も3階に移動しておきましょう。
2階建ての場合
2階建ての場合も、3階建て同様に家の中で最も高い部屋に移動し、防災グッズ、非常食、水の備蓄品も移動させます。
しかし、2階建ての床面高さは地面から3m程度なので、2階床面も浸水することも考えられます。
決して、「2階だから安心」とは思わないようにしましょう!
場合によっては、2階の屋根上に登ることも考えておきましょう。
2階建ての屋根上は、約8mの高さがあります。
平屋の場合
平屋については、もし避難所に避難しておらず家に水が浸水してきた場合は、近くの高い場所に早めに行くか、家の屋根上に登りましょう。
平屋の屋根上は、約5mの高さがあります。
とにかく、今より高いところを目指しましょう!
3階建て以上、2階建て、平屋全てにおいて言えることは、垂直避難すると決めたら以下の3つを考えておきます。
・より高いところに避難
・防災グッズも高いところに移動させる
・屋根上に登ることも考えておく
防災グッズ/屋根上に登る防災グッズの備え
防災グッズ
防災士が考える「防災グッズ」については、関連記事を貼っておきます。
一言でいうと、家庭や人はそれぞれ違うので、同じ防災グッズでは気休めにしかならない!と思っています。
防災グッズは個人個人に合ったものを備えておく必要があるので、そのお手伝いができる記事になっているので、ぜひ見てください。
屋根上に登るとき防災グッズ
屋根上に登るときは以下のことに注意します。
・夜間は見えないのでヘッドライトを着用する
・暴風、がれきや倒木が流れてくることも考えておく
・水で屋根や手すりやはしごが濡れてるので、滑って落下する恐れがある
・必ず両手をフリーにして行動する
このことより、屋根上に登ることを考えた防災グッズは
・ヘッドライト
・ロープ
・抱っこ紐(赤ちゃんがいる家庭)
・水(500㎖のペットボトル)
・行動食・携行食
・ウエストポーチ
・はしご
・ライフジャケット
・ゴムボート
ヘッドライト、ロープ、抱っこ紐、水、行動食・携行食は「【2020年保存版】防災グッズは、自分に合った手作りが最強」の記事内でおすすめを紹介しているので、そちらをご覧ください。
これから、屋根の上に登るためのアイテムを見ていきましょう。
ウエストポーチ
ウエストポーチは、両手をフリーにしてくれます。
屋根上に登るときは、両手が自由に使えないと危なくて登れません!
リュックを持っている人でも、後から紹介しますがライフジャケットを着用してリュックは背負うことはできないので、水と行動食・携行食が入れれる大きさで十分です。
あと入れるとしたら、コロナ対策としてのマスクと貴重品くらいでしょう。
屋根上に登るくらいひっ迫した状況なので、命優先の荷物になります。
また、雨も降っている可能性が高いので、防水商品を選ぶようにしましょう。
Amazonの人気商品で、防災士が防災目線で選んだ3選をピックアップしているので、参考にしてみてください。
どれも防水で、500㎖のペットボトルが入りますし邪魔にならない丁度良い大きさです。
はしご
はしごは、屋根上に登るためのアイテムです。
すでに、家にはしごがある方は、そのはしごで屋根まで登れるか確認してみてください。
くれぐれも無理せず転落事故にならないよう、注意してください。
2階がありベランダがある家は、ベランダにはしごを置いておきましょう。
しかし、いざ災害時となると平常心でいられなくなることもあるので、もし、はしごが無い場合は、机やベッド、イスや棚を積んで屋根に登ることも考えておきましょう。
ライフジャケット
屋根上に登り、救助を待っている人をニュースで見たことがあるでしょう。
その人が救助されるときは、自衛隊やレスキュー隊にライフジャケットを渡されます。
なので、個人で避難するときにもライフジャケットを着用してた方がより安全です!
もし、万が一流されたとしても、助かる可能性があります。
海が近い家や川が近くにある家などは特に、必須アイテムになります!
子供用もあるので、必ず家族分を用意しておきましょう。
また、ガスで膨らませるタイプは、定期的に新しいガスボンベに入れ替えを行うようにしてください。いざという時に使えないと、意味をなさないので。
ゴムボート
ゴムボートは、家が完全に浸かったときや家が流されたとき用として備蓄しておいた方が良いアイテムです。
そこまでしなくても・・・
という方もいますが、ゴムボートがあれば脱出することができて生き残る可能性が残っています!
近年、個人のボートを浸水した地域で、救助用として貸し出した事例もあります。
ゴムボートは口で膨らませることは不可能なので、Amazonの人気商品から電動エアーポンプもセットで購入しましょう。
電動エアーポンプは充電式なので持ち運びに優れ、毎年夏に浮き輪を膨らませる用として使えるので持っていて損しないアイテムです!
まとめ
<家に水が浸水してくる前に、できる備え>
土のうの設置
土のうの設置は天気予報をみて台風が近づく前、大雨が降る前にやっておきましょう
避難のポイント(家の高さを確認しておく)
・より高いところに避難
・防災グッズも高いところに移動させる
・屋根上に登ることも考えておく
屋根上に登るときの持ち物
・ヘッドライト
・ロープ
・抱っこ紐(赤ちゃんがいる家庭)
・水(500㎖のペットボトル)
・行動食・携行食
・ウエストポーチ
・はしご
・ライフジャケット
・ゴムボート
<家に水が浸水してきたら>
・避難できないので垂直避難に切り替える!
・土のう設置や水をかき出す行動はせず、垂直避難の準備にとりかかる!
<屋根上に避難するときの注意点>
・夜間は見えないのでヘッドライトを着用する
・暴風、がれきや倒木が流れてくることも考えておく
・水で屋根や手すりやはしごが濡れてるので、滑って落下する恐れがある
・必ず両手をフリーにして行動する
家に水が浸水してきたときのイメージをすることで、いざという時にスムーズに行動することができます。
家族全員でイメージしておきましょう。
一緒に頑張りましょう!